hibibikki日々々記
2025.02.10
新聞部
資源ごみの日に出すために、ダンボールと新聞と包装紙を分けてそれぞれ紐でまとめる。割と好きな作業だ。そしていつも、以前勤めていた会社の上司のことを思い出す。
30年以上前のことだから、スマホもメールもない。ファックスの出始めの頃で、送った後に届いたかどうか確認の電話をしていた時代だ。そのうちポケベル、少し遅れて携帯電話も登場し、私はその新聞広告を担当させてもらっていた。もちろんデジタルデータなんかではない。写植文字を手作業で切り貼りする版下で作るのだ。
掲載された広告は切り抜いてスクラップをする。切り刻まれた新聞が一定量たまると、紐で結えて古紙回収に出せるよう整える。紐は新聞の束の角で引くときっちり絞まってほどけにくくなる。
ある日上司がポツッと言った。「上田さん、学生時代新聞部だった?」
え?と呆気に取られていると、「新聞結わえるの、上手だから」と言って笑った。
たったそれだけのことなんだけど、なぜかずーっと記憶に残っている。
その上司も10年以上前に亡くなった。
思い出は、妙なところに潜んでいる。